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    アルツハイマー病に対するくるみの効果について新たな研究 くるみを加えた食事が脳を健康にする可能性が動物実験で判明

    2014/11/28

    カリフォルニア州フォルサム(2014年10月31日)―『ジャーナル・オブ・アルツハイマーズ・ディジーズ』に発表された新しい動物実験で、くるみを取り入れた食事はアルツハイマー病の発症リスク抑制、発症遅延、進行抑制、予防といった有益な効果をもたらす可能性があることが示されました。

    ニューヨーク州立発達障害基礎研究所(IBR=Institute for Basic Research in Developmental Disabilities)発達神経科学研究室長のアバ・チャウハン博士の率いた研究で、くるみを加えた餌をマウスに与えたところ、学習能力、記憶力、不安軽減、運動発達において有意な改善が見られました。

    研究者らは、くるみに抗酸化物質が豊富に含まれる(3.7 mmol/オンス)1ことが、アルツハイマー病で典型的にみられる変性症からマウスの脳を保護する一因となった可能性を示唆しています。酸化ストレスと炎症はアルツハイマー病の中心的な特徴であす。日本における認知症患数は200万人以上(2010年)ではといわれてきましたが、今後、高齢者人口の急増とともに認知症患者数も増加することが予想されます(厚生労働省調べ)。

    アルツハイマー病に対するくるみの効果について新たな研究

    「今回の研究結果は非常に有望であり、根治方法が見つかっていない病気であるアルツハイマー病とくるみの関係を調べる今後の臨床試験の土台を築く助けとなります」と研究責任者のアバ・チャウハン博士は語りました。「認知機能に対するくるみの保護作用を証明する研究は増えており、私たちの研究もその一つとなります」

    研究グループは、マウスの餌の総量のうち6パーセントまたは9パーセントをくるみとした場合の効果を調べました。これはヒトに換算すると、1日に1オンス(約28グラム)または1.5オンス(約42グラム)のくるみに相当します。今回の研究は、チャウハン博士が率いた過去の細胞培養実験から発展したものです。その実験では、アミロイドβタンパク質による酸化ダメージに対してくるみ抽出物が保護作用を示すことが明らかになりました。このタンパク質は、アルツハイマー病患者の脳内で形成されるアミロイドプラークの主成分です。

    くるみには、これ以外の栄養効果もあります。さまざまなビタミンやミネラルを含み、心臓と脳に対する保健効果をもつオメガ3脂肪酸であるアルファ・リノレン酸(ALA)を豊富に含む(2.5グラム/オンス)唯一のナッツ類だからです。3,4研究者らはまた、今回の研究で見られた行動症状の改善にALAが関与した可能性も示唆しています。

    京都大学名誉教授の久保田競医学博士は、「アルツハイマー病の国際的専門誌に発表されたのであるが、アルツハイマー病(モデル)のネズミがクルミを長期間取り続けると、学習能力が増し、記憶が良くなるという。人間で、同じことをすれば、クルミに含まれている栄養物(不飽和脂肪酸など)で神経細胞の膜の活動をよくする効果が出てきて、学習能力が増し、生産されるベータ―アミロイドが脳内に残らなくなることが期待される。食べる量が多いほど、効果も大きくなる。我々の神経細胞にも、同様の効果が、期待できるので、私は、脳の働きを良くしたい場合、毎日クルミを取ることを勧める」と意見を述べました。

    今回の研究結果を詳述した論文”Dietary Supplementation of Walnuts Improves Memory Deficits and Learning Skills in Transgenic Mouse Model of Alzheimer’s Disease”(アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルにおいて、くるみの食餌補給は記憶欠損と学習能力を改善させる)は『ジャーナル・オブ・アルツハイマーズ・ディジーズ』10月号(Journal of Alzheimer’s Disease 42(4): 1397-1405 (2014))に掲載されています。

    チャウハン博士の共著者は、IBR神経化学部門のバル・ムタイヤ博士、ムスタファ・M・エッサ博士、ムーン・リー博士、ヴェド・チャウハン博士、クルビル・カウル博士でした。

    本研究は、ニューヨーク州発達障害者局とカリフォルニアくるみ協会から部分的な資金提供による支援を受けました。

    カリフォルニアくるみ協会について
    1987年創立のカリフォルニアくるみ協会は、くるみ生産者に義務づけられる分担金によって資金をまかなっています。カリフォルニア州食料農業局(CDFA)長官と連携して業務にあたる州代理機関です。主に保健研究と輸出市場開発の活動に従事しています。くわしい業界情報、保健研究、レシピアイデアについては、www.walnuts.org をご覧ください。

    久保田 競(くぼた きそう)医学博士
    京都大学名誉教授(1996年就任)、医学博士。1957年、東京大学医学部卒業。 当時、脳研究の第一人者であった時実利彦教授に師事し、脳神経生理学を学ぶ。大学院3年目に米国・オレゴン州立医科大(現在のオレゴン健康科学大学Oregon Health & Science University)のJ・M・ブルックハルト教授のもとで最先端の研究に従事。1973年、京都大学霊長類研究所神経生理研究部門教授に就任、同所長を歴任する。2007年より国際医学技術専門学校副校長に就任。社会医療法人大道会・森之宮病院学術顧問、日立製作所中央研究所嘱託。著書、多数。


    参考資料:
    1. Halvorsen BL, Carlsen MH, Phillips KM, Bohn SK, Holte K, Jacobs DR, Blomhoff R (2006) Content of redox-active compounds (ie, antioxidants) in foods consumed in the United States. Am J Clin Nutr 84, 95-135.

    2. 2014 Alzheimer’s Disease Facts and Figures. Alzheimers Dement. 2014;2:16-17. http://www.alz.org/downloads/Facts_Figures_2014.pdfから入手可能。

    3. Pan A, Chen M, Chowdhury R, HY Wu J, Sun Q, Campos H, Mozaffarian D, Hu FB (2012) Alpha linolenic acid and risk of cardiovascular disease: a systemic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 96:6:1262-1273.

    4. Innis SM (2007) Dietary (n-3) fatty acids and brain development. J Nutr 137, 855-859.


     

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