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栄養と健康
30年もの研究からくるみは心臓と血管の健康の手助けをすることが示されています。
健康的な食事の一部としてくるみを摂り入れることは、心疾患のリスクを低減することが期待でき、心疾患の二大要因であるコレステロール値を健康的な状態に維持することや血圧を下げる助けをしてくれます 1.2。
米国では様々な臨床実験により、くるみのコレステロール低下効果が医学的に示唆され、米国食品医薬品局(FDA)から心疾患のリスクを軽減する可能性があるとして、2004年3月にくるみに対して、ホールフード(何も加工せず、何も添加していない食物)として初めて、効果・効能に関する「限定的健康協調表示(qualified health claim)」を承認しました。「研究結果において、カロリー摂取の増加を招かない低飽和脂肪・低コレステロール食の一部として、一日1.5オンス(約42グラム)のくるみを食べると、冠動脈疾患のリスクが低下する可能性がある」ことが表示されています 3。
過去に発表された研究では、くるみ、ピーナッツや、他のナッツ類を日常的に摂取している人は、ナッツをほとんど食べない人に比べて心疾患にかかるリスクが低くなる可能性が示唆されました4。特にくるみは、一週間に1回以上の摂取で、心血管疾患では19%、冠状動脈性心臓病では21%、脳卒中では17%のリスク低下との関連性が示されました。
くるみはコレステロール値を下げ、血管を柔軟にし、血液の流れを良くし、心疾患のリスクを下げると報告されています。くるみに豊富に含まれる植物由来のオメガ3脂肪酸(ALA)は血中LDL(悪玉)コレステロール値を低下させ、HDL(善玉)コレステロール値を維持または上昇させると言われています2。
くるみが心臓の健康に果たしうる役割を裏付けた研究として、最初に発表されたのは1993年のロマリンダ大学の研究です5。くるみが男性の総コレステロールとLDLコレステロールをそれぞれ12%と16%も下げる可能性があることが示されました。それ以降、くるみを食べることでさまざまな心臓の健康を示すバイオマーカーやリスクマーカーにどのような影響が及ぶかを検討した研究が発表されています。
『European Journal of Nutrition』で発表された研究では、くるみやサーモン、亜麻仁油や魚油サプリのような多価不飽和脂肪酸(PUFAs)を含む頻繁な食事摂取は、脂質代謝を大幅に改善し、高コレステロール値のような飽和脂肪酸からの悪い影響から守ってくれる可能性が示されました6。
ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院が実施したシステマティックレビューとメタ分析では、コレステロール、トリグリセリド、血圧、体重といった心血管疾患のリスク要因に対して、くるみの摂取がどのような役割を果たしているかを示す、25年分のエビデンスを検証しました7。一日当たりの総カロリーの5~24%(一日あたり約14~109g)の量のくるみを加えた食事では、低脂肪食や地中海食、アメリカ食、日本食などに比べて、総コレステロール(3.25%)、LDLコレステロール(3.75%)、トリグリセリド(5.52%)、アポ蛋白B(4.19%)の有意な低下が見られました。
『Nutrition』で発表された長期の観察研究『代謝と心血管疾患』で、くるみを摂取した人は摂取していない人に比べて拡張期血圧、腹囲、腹部肥満率が低いことがわかりました8。この研究の被験者の多くは平均で45歳以下でした。低い拡張期血圧は心臓病の進行を遅らせることから正常な拡張期機能は特に大切だといわれています。
くるみは植物由来のオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸(ALA)を豊富に含んでおり、これは1オンス約28g当たりのくるみに2.5g含まれています。このオメガ3脂肪酸には有意な抗炎症効果が期待されています。『The Journal of Nutrition』に掲載された臨終試験で、くるみのようなオメガ3脂肪酸を豊富に含む食事を摂ることは抗炎症効果によって心疾患のリスクを低下させる可能性が示唆されました7。オメガ3脂肪酸は高コレステロールのC-反応性蛋白 炎症マーカーを軽減する可能性が示されました9。
『The Journal of Nutrition』で発表された総括書によると、くるみの摂取はコレステロール、血圧、内皮機能、酸化ストレス、炎症、プラーク形成において有益な役割を果たすことから、心臓の健康に良い影響を与える可能性が示されました10。
最魚類、野菜、果物、全粒粉、オリーブオイル、ナッツや豆類を多く含む地中海式食事の一部としてくるみを摂ることで、心疾患や脳卒中のリスク低減につながる可能性があるとされています。最近の研究では、心血管疾患の高いリスクを持つ人にとって、オリーブオイルやくるみを含むナッツで補足された地中海食事法を摂ることは、主要な心血管疾患の発症リスクを下げることが期待される研究結果が出ています11。画期的な研究であるPREDIMED (PREvención con DIeta MEDiterránea)試験では、くるみが心臓にもたらす有益な効果を検証しました12。心血管疾患リスクの高い7,000名の55~80歳のスペイン人を対象に、半分以上がくるみを占めるミックスナッツを含んだ地中海式食事を摂取してもらった結果、心血管疾患による死亡、心筋梗塞や脳卒中のような心血管イベントのリスク低下への可能性が関連づけられました。しかし、地中海食のどの部分が心血管疾患への効果につながるか正確に示すのは困難です。