「いつまでも美しく健康に暮らすために…」
コレがお手本! 世界の注目エリアに学ぶ食生活

ガイド:菅原 道仁

健康でいるために大切なことのひとつが、食生活。何をどう食べるかは、私たちの体をつくる上で欠かすことができない要素です。そこで注目したいのが、体によいと言われる食習慣をもつエリア。一体、どのような食事なのか、All About「家庭の医学」ガイドの菅原さんと共にご紹介します。

地中海沿岸諸国の食事が、体によい効果をもたらす!?

近年、よく言われている健康寿命。これは、健康な状態で日常生活を送れる期間のことです。たいていの人がこの健康寿命を伸ばし、「ずっと元気で暮らしたい」と願っていることでしょう。そのためには、3つのポイントがあると菅原さんは言います。

菅原さん「それが“食生活”、“運動習慣”、“ストレス管理”。この3つが崩れる予兆が出るのは体型です。食生活の乱れはもちろん、運動習慣が減っても太りますし、ストレスフルな生活をすると、甘いもので解消しようとする人が増えるので、やはり肥満につながるもの。肥満はさまざまな病気を引き起こす原因となるので、ご自身の体重をしっかりと管理することが長く健康に暮らす秘訣と言えます」

そこで今回、取り上げるのは、菅原さんがポイントのひとつめに挙げた“食生活”。まずは体によいと言われる、地中海沿岸諸国の食事を見てみましょう。これらの国の多くでは、新鮮な野菜や果物、種実とナッツ類、オリーブオイル、魚をたっぷりと使う食生活が送られています。

オリーブオイルや、くるみなどのナッツ類は体によいだけでなく、料理も風味豊かになります。こちらのページでさまざまなレシピを紹介しているので、ぜひチェックしてください。

菅原さん「地中海沿岸は他の欧州諸国に比べ、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気が少ないことが知られていました。そしてその理由は、地中海沿岸の独特の食生活にあることがわかり、地中海食として注目されているのです。最近の研究では、地中海食が老化の防止につながるかもしれないという報告もあります」

地中海食には、ほかにもさまざまな効果が期待されているのだとか。ここで着目したのが、地中海食に多く使われるナッツ類でも、特にオメガ3脂肪酸が豊富なくるみです。

菅原さん「私たちが口にする脂肪にはいろいろな種類があり、大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。その中で特に注目が集まっているのが、不飽和脂肪酸のひとつであるオメガ3脂肪酸。なぜなら、このオメガ3脂肪酸は、血液をサラサラにして悪玉コレステロールを低下させる薬理作用をもつからです。ですから、オメガ3脂肪酸を豊富に含むくるみは、私たちの健康管理に必要な食品と言えましょう」

ちなみに、地中海食に和食の調味料や発酵食品を組み合わせた“地中海式和食”が提唱されることもあるとか。

菅原さん「おいしいだけではなく、長寿食としても注目を浴びている和食。特に調味料である醤油や味噌、納豆や漬物は発酵食品であり、腸内環境を整える働きもあります。これらを、オリーブオイルやくるみなどのナッツをふんだんに使った地中海食に加えれば、健康面においてはもちろんのこと、日本人の味覚にも合うので継続して食べることができますね」

健康・長寿の割合が高い地域、ロマリンダのライフスタイル

野菜や果物などを多く摂取するロマリンダの食生活に習って、“くるみ・豆腐・アボカドのサラダ”はいかが? くるみとオリーブオイルのコクが、満足感をアップさせてくれます。

アメリカ・カリフォルニア州にあるロマリンダも、体によいと言われる食生活を送っているエリアのひとつ。世界的に見ても、群を抜いて健康・長寿の人が多い地域として知られています。

菅原さん「ロマリンダの人たちは、野菜や果物や穀物をたくさん摂取し、肉類はほとんど摂らないとのこと。また、カリフォルニアくるみの産地に近いこともあり、くるみなどのナッツ類も多く摂取しています。その点は、地中海食とも似ていますね」

また、食事だけに限らず、ロマリンダのライフスタイル全般を見ても、長寿の秘訣が感じられます。ウォーキングのような、激しくない運動を定期的に行うのも、そのひとつ。さらに、人とのつながりも大切にしているようです。

菅原さん「ロマリンダの生活様式には、家族や友人などの大切な人たちと自然の中でふれあう“安息日”といった日が週に1回あるそうです。その日は楽しくゆっくりと過ごし、自らのストレスをコントロールしているとのこと。今、私たちが生きている現代はあまりにも忙しく、時間に追われることが多いものです。でも、時には足を止めて、ゆっくりと大切な人と過ごす時間があってもいいですよね」

食生活と運動習慣、そしてストレス管理。ロマリンダのライフスタイルは、先ほど菅原さんがお話しした、健康寿命を伸ばす3つのポイントにもつながります。長く健康に暮らしたいと思うなら、ぜひお手本にしたいですね。

ふたつのエリアがお手本! 食生活にくるみを取り入れよう

もうおわかりかと思いますが、地中海食とロマリンダの食事に共通するのが、くるみ。良質な脂肪酸とタンパク質、食物繊維などをたっぷり含み、バランスよく栄養素を補給できる食材です。

くるみはカロリーが高いからと敬遠する人もいますが、決してそんなことはありません。実は『Journal of Nutrition』に発表された最近の研究によって、くるみ1食分(約28グラム)のカロリーは、従来の数値より21%も低い146キロカロリーということがわかったのです。さらに、女性にうれしい効果もいっぱい!抗酸化作用が高いほか、菅原さんによると、肌の調子を整えることも期待できるとか。(*)

菅原さん「肌を構成する細胞を活性化させるには、まず、皮膚の血流を維持することが大切。なぜなら、真皮の表と裏に張り巡らされている毛細血管が、肌の細胞に酸素や栄養分を運ぶからです。この皮膚への血流維持をよくするのが、くるみに多く含まれるオメガ3脂肪酸。これを摂取することで血色が改善し、肌トラブルを抑えることが期待できるんです。肌の調子を改善させるには、食べるものから。くるみをたくさん食べて、肌美人になりましょう」

*厚生労働省は、 n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)は体内で合成できず(必須脂肪酸)、欠乏すると皮膚炎などが発症するので、摂取目安量(成人女性で1日1.6gから2.0g)を示しています。「n-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。」と栄養成分機能を表示することを消費者庁が認めている栄養機能食品です。

ガイド紹介

All About「家庭の医学」ガイド:菅原 道仁

菅原脳神経外科クリニック院長、日本健康教育振興協会会長。現役脳神経外科医として、毎月1500人以上を診察。脳血管障害を中心に、救急医療からリハビリテーション、予防医療までの現場経験を元に、くも膜下出血・脳梗塞・認知症などに代表される脳・神経の病気について、役立つ情報を発信中。