「若い頃とは何が違う?」
これから始めるべきオトコの健康管理術

ガイド:菅原 道仁

多少、無理をしても何とかなったのは、若かりし頃の話。年齢を重ねると、体にはさまざまな変化が表れます。その中でも、特に男性が気を付けたいことを、All About「家庭の医学」ガイドの菅原さんに聞いてみました。

メタボリックシンドロームに陥らないためには?

今やすっかり定着した “メタボリックシンドローム(メタボ)”。生活習慣病発症の前段階で、特に40歳以上になるとこのリスクが高まると言われています。

菅原さん「メタボとは、内臓に脂肪が貯まるようなタイプの肥満(内臓脂肪型肥満)に加え、高血圧や糖尿病や脂質異常症が組み合わさった病態を言います。この状態を放置すると、将来、体中の血管が老化し、心筋梗塞や脳梗塞といった病気を引き起こしてしまいます」

こうした病気は年配の人がかかるものと思いがちですが、今のうちから気を付ける必要があるということですね。では、どのように予防すればよいのでしょうか?

菅原さん「メタボは“肥満”が大きな要因となるので、体重管理重要です。体重を落とすためには、食生活や間食習慣の見直しが大切。摂取カロリーを減らし、運動や筋力アップをして消費するカロリーを増やすしか方法がありません」

ジムへ通ったり、ジョギングしたり……。日常的に運動する習慣をつけて、メタボリックシンドロームを撃退しましょう!

朝食抜き、栄養バランスの偏った食事、間食、深夜のラーメン……。どれかひとつでも心当たりがあるなら、あなたの食生活は改善が必要。その上で、日常的に体を動かす習慣を取り入れれば、メタボのリスクを減らすことができます。すぐにすべて実践するのは難しいと思うなら、少しずつ取り入れていきましょう。たとえば、間食がやめられないなら、食べるものを変えるのもひとつの手。

菅原さん「間食にしがちなのが、クリームやバターなどを使った甘いお菓子。これらはカロリーが高いだけではなく、健康に害を及ぼすと言われる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸も多く含んでいます。ですので、どうしても口さみしい場合はナッツなどで代用しましょう。特に、動脈硬化予防の効果があるオメガ3脂肪酸が多く含まれている“くるみ”はオススメ。食物繊維も含まれるので、腸内環境も整えてくれますよ」

くるみはカロリーが高いと思われがちですが、実は『Journal of Nutrition』に発表された最近の研究で、これまで定められていた数値よりも低いこともわかっています。従来、くるみ1食分(1オンス=約28グラム)は185キロカロリーとされていましたが、実は約21%も低い146キロカロリーだったとか。これなら、甘いお菓子よりも安心! 食感がよくて食べ応えもあるので、十分満足できるはずです。

女性だけじゃない! 不妊に悩む前に考えるリプロダクティブヘルス

大切な人と家庭を築き、子供をもちたい。そう考えるふたりにとって、リプロダクティブヘルスに向き合うことは不可欠です。

もうひとつ、ミドルエイジを迎えた男性が気を付けたいのが、リプロダクティブヘルス。あまり聞き慣れない言葉ですが、一体、何のことなのでしょうか?

菅原さん「1994年にエジプトのカイロで行われた国際人口開発会議で提唱されたもので、リプロダクティブヘルスのほか、リプロダクティブライツという言葉もあります。前者は私たちが子孫を残すことに関連した健康、そして後者はその権利のこと。私たちは誰でも安全で満ち足りた性生活を営むことができ、そして生殖能力をもち、子供をもつかもたないかを自由に決めることができることを意味しています」

このリプロダクティブヘルスを考える中でひとつの問題になるのが、不妊。菅原さんによると、近年は子供を望んでいるにもかかわらず、恵まれないカップルが増えているそうです。

菅原さん「厚生労働省の統計によれば、不妊治療をしている人は全国で45万人を超えているとのこと(*)。一般的に不妊の原因は女性側にあるものと思われがちですが、実は半分近くは男性にも原因があることがわかってきました」

この男性のリプロダクティブヘルスに、くるみが役立つかもしれない……。近年、そんな研究結果が『バイオロジー・オブ・リプロダクション』誌にて発表されました。これによると、21歳〜35歳の健康な男性たちに1日75グラムのくるみを食べさせたところ、精子の活力、運動性、形態(正常な形状)が改善されたのだとか。

「この研究から、くるみが男性のリプロダクティブヘルスに不可欠かもしれない、重要な栄養素の供給源であることが示唆されます」と、菅原さんは続けます。

菅原さん「働き盛りの30代~40代は仕事に追われ、ストレスに晒され、睡眠時間を削ってがんばっている人も多いと思います。しかし、健康な体があってこそ、仕事に打ち込めるし、プライベートも楽しめるということを忘れてはいないでしょうか? 体づくりの基礎は、まず食生活を見直すこと。特に最近では、オメガ3脂肪酸に注目が集まっています。この栄養素は生活習慣病である動脈硬化の進展を防いでくれるので、この成分を豊富に含んだくるみの摂取はオススメ。これが、健康的な体を維持できることにつながります」

*平成14年度厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究「生殖補助医療技術に対する国民の意識に関する研究」(主任研究者:山縣然太朗)において推計された調査時点における患者数。

くるみの力を借りて、オトコの健康管理を実践しよう

“メタボリックシンドローム”と“リプロダクティブヘルス”。20代の頃には深く考えることがなかったこのふたつの問題に、役立つ可能性を秘めているというくるみ。1日の摂取量は、ひとつかみ分(約28グラム)と言われています。

そのまま食べるのはもちろん、砕いたものをサラダなどのトッピングに使うのもオススメ。栄養価も風味もアップする上に、食感を楽しめるひと皿になります。無塩のものを選べば、塩分を気にする必要もありません。

栄養価が高く、ローカロリーで気軽に食べられるくるみ。これからの健康管理を考えるなら、ぜひ食生活に取り入れてください。

ガイド紹介

All About「家庭の医学」ガイド:菅原 道仁

菅原脳神経外科クリニック院長、日本健康教育振興協会会長。現役脳神経外科医として、毎月1500人以上を診察。脳血管障害を中心に、救急医療からリハビリテーション、予防医療までの現場経験を元に、くも膜下出血・脳梗塞・認知症などに代表される脳・神経の病気について、役立つ情報を発信中。